セレン——必須微量ミネラルだが摂りすぎは禁物
セレン(Se)は体内でセレノプロテインと呼ばれる特殊なたんぱく質を構成し、 抗酸化酵素グルタチオンペルオキシダーゼの必須成分として活性酸素・過酸化物から細胞を保護します。 また甲状腺ホルモンの代謝酵素(ヨウ素チロニン脱ヨウ素酵素)にも関与し、甲状腺機能に深く関わります。
日本人の食事摂取基準2020年版による推奨摂取量は成人男性30μg/日、女性25μg/日。 上限量は成人男性460μg/日、女性350μg/日と設定されており、 過剰摂取では脱毛・爪の変形・神経症状・消化器症状などの中毒症状が現れます。
データで見るセレンが多い食品(100gあたり)
⚠️ ブラジルナッツについての注意
ブラジルナッツはセレン含有量が極めて高く、1粒(約5g)で推奨量の約3〜4日分に相当します。 毎日大量に食べると過剰摂取になりやすいため、週に1〜2粒程度を目安にするのが安全です。
セレンの主な役割——抗酸化と甲状腺機能の2つの柱
🛡️ 抗酸化酵素の構成成分
グルタチオンペルオキシダーゼのセレン中心部が、過酸化水素や脂質過酸化物を無害化します。ビタミンEと相乗的に働きます。
🦋 甲状腺ホルモンの代謝
甲状腺ホルモンの不活性型(T4)から活性型(T3)への変換酵素にセレンが必須。甲状腺機能低下症の方はセレン状態の確認が推奨されます。
💪 免疫機能のサポート
セレンはNK細胞・T細胞の機能を維持し、ウイルス感染への抵抗力に関与します。HIV・インフルエンザウイルスへの影響を示す研究があります。
🧬 精子の酸化ストレス防御
精子のDNAと細胞膜を過酸化物から保護するセレン酵素が存在します。男性の生殖機能に関わる微量ミネラルです。
まとめ:セレン摂取の実践ポイント
- ✓通常の日本食(魚・肉・白米)を食べていればセレンは不足しにくい
- ✓かつおぶしは少量で多くのセレンを摂れる。料理のだし・ふりかけとして活用を
- ✓甲状腺疾患がある方は主治医にセレン摂取量を確認することを推奨
- ✓ブラジルナッツはセレン含量が極めて高いため、食べ過ぎに注意(週1〜2粒が目安)
- ✓日本人は食事からのセレン摂取量が多い傾向があるため、サプリメントでの追加補給は慎重に
参考資料
・文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
・厚生労働省「日本人の食事摂取基準2020年版」