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成分表の読み方2026年7月10日約5分で読めます

成分表の「Tr」「()」「-」の意味——微量・推定値・未測定の読み方

日本食品標準成分表には数値のほかに「Tr」「()」「-」「0」という4種類の表記があります。それぞれの意味と違いを実データの例で解説します。


成分表には「数値ではない表記」がある

日本食品標準成分表2020年版(八訂)を見ていると、「13.0」のような数値のほかに、「Tr」「(3.2)」「-」「0」といった表記が並んでいることに気づきます。 これらは「データがない」のではなく、それぞれ明確に異なる意味を持つ公式の記号です。

この違いを知らないと「-」と「0」を同じ意味に読んでしまい、 「この食品にはこの栄養素が含まれていない」という誤った結論を導きかねません。 本記事では4つの表記の意味と、当サイト(栄養DB)での表示方法を解説します。

4つの表記の意味を整理する

表記意味
Tr微量(トレース)
(数値)推定値
-未測定・未収載
0ゼロ

※ 成分表の凡例では、Tr は「最小記載量の1/10以上5/10未満」、0 は「最小記載量の1/10未満または検出されなかった」と定義されています。

実データで見る:どの食品にどの表記があるか

当サイトが収載している成分表2020年版の実データから、身近な食品の例を挙げます。

食品(食品番号)栄養素成分表の表記
普通牛乳13003マンガンTr(微量)
鶏卵 全卵 生12004α-カロテンTr(微量)
まあじ 皮つき 生10003ビタミンCTr(微量)
鶏卵 全卵 生12004ナイアシン当量(3.2)mg =推定値
ぶた ロース 脂身つき 生11123利用可能炭水化物(0.2)g =推定値
こめ 水稲めし 精白米01088ビタミンC(0)=推定でゼロ

例えば「牛乳にマンガンは入っているの?」という問いへの正確な答えは、 「入っているが、100gあたりの記載単位に満たない微量(Tr)」です。 「ゼロ」でも「不明」でもない、というのがポイントです。

なぜ「推定値」が存在するのか

成分表の全データを実測でそろえるのは現実的ではありません。推定値が使われる主な理由は次の通りです。

💰 分析コストの問題

2,478食品×54成分をすべて実測すると膨大な費用と時間がかかります。優先度の高い食品・成分から順に分析され、残りは推計で補完されます。

🔄 類似食品からの推計

「ゆで」「焼き」など調理形態違いの食品や近縁の品種は、既に分析済みの類似食品の値と成分変化率から推計できます。

🧮 原材料からの計算

加工食品や料理は、原材料の配合割合と各原材料の成分値から計算で求められることがあります。

実際、当サイトが収載する成分表2020年版の全133,812データポイントのうち、約17%(22,379件)が推定値、約3%(3,859件)が微量(Tr)、 約14%(18,340件)が未測定です。推定値は決して例外的な存在ではなく、 成分表を使いこなすうえで前提となる知識といえます。

当サイトでの表示方法:バッジで一目で分かる

栄養DBの食品詳細ページでは、成分表の記号をそのまま転記するのではなく、次のように表示しています。

推定値

()付きの数値には備考欄に青い「推定値」バッジを表示。数値自体は()を外して掲載しています。

微量

Tr の成分にはグレーの「微量」バッジを表示。数値欄は「—」となりますが、微量に含まれていることを示します。

未測定(-)の成分は数値欄に「—」のみを表示。バッジが付かない「—」は未測定を意味します。

例えば普通牛乳(13003)のページを開くと、 マンガンの行に「微量」バッジが付いているのが確認できます。

まとめ:4つの表記の読み分け

  • Tr(微量)=含まれているが最小記載量未満。「ゼロ」ではない
  • ()付き数値=推定値。実測ではなく類似食品・原材料からの推計
  • -(未測定)=測定していないだけで、「含まれていない」証拠にはならない
  • 0 =分析の結果、実質的に含まれないことが確認された値
  • 成分表全データの約17%は推定値。数値の「確からしさ」も含めて読むのがデータ活用のコツ

参考資料

・文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」(凡例・第1章 説明)


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