「ナトリウム」と「食塩相当量」は同じではない
海外製の食品や古い栄養成分表示では、塩分が「ナトリウム(Na)」のミリグラム表記になっていることがあります。 しかし、私たちが普段「塩分◯g」と呼んでいるのは食塩相当量のこと。 食塩(塩化ナトリウム NaCl)はナトリウムと塩素の化合物で、ナトリウムは食塩の重さの約39%を占めるにすぎません。
そのため、ナトリウムの数値をそのまま「塩分」と読むと、実際の塩分量を大幅に少なく見積もってしまいます。 正しく塩分管理をするには、ナトリウムを食塩相当量に換算する計算式を知っておく必要があります。
換算式:ナトリウム(mg) × 2.54 ÷ 1000 = 食塩相当量(g)
食塩相当量(g) = ナトリウム(mg) × 2.54 ÷ 1000
2.54 は「食塩の分子量 58.5 ÷ ナトリウムの原子量 23」から導かれる係数です
係数 2.54 は、塩化ナトリウム(NaCl)の式量 58.5 をナトリウムの原子量 23 で割った値(58.5 ÷ 23 ≒ 2.54)。 つまり「ナトリウムの重さを 2.54 倍すると、食塩としての重さになる」という意味です。
暗算するときは「ナトリウム 400mg ≒ 食塩 1g」と覚えるのが実用的です (400 × 2.54 ÷ 1000 = 1.016g)。逆に、食塩 1g に含まれるナトリウムは約 394mg です。
ナトリウム→食塩相当量 換算早見表
栄養成分表示でよく見かけるナトリウム量を、食塩相当量に換算すると次のとおりです。
| ナトリウム(mg) | 食塩相当量(g) |
|---|---|
| 100 | 0.25 |
| 200 | 0.51 |
| 400 | 1.02 |
| 600 | 1.52 |
| 1000 | 2.54 |
※ 現在の日本の食品表示基準では食塩相当量での表示が原則ですが、輸入食品やサプリメントではナトリウム表記が残っています。
データで見る食塩相当量が多い食品(100gあたり)
日本食品標準成分表2020年版のデータから、身近な高塩分食品のナトリウム量と食塩相当量を並べてみると、 換算式(×2.54÷1000)がそのまま成り立っていることがわかります。
| 食品名 | ナトリウム(mg/100g) | 食塩相当量(g/100g) |
|---|---|---|
| 食塩 | 39,000 | 99.5 |
| カットわかめ(乾) | 9,300 | 23.5 |
| 梅干し(塩漬) | 7,200 | 18.2 |
| うすくちしょうゆ | 6,300 | 16.0 |
| こいくちしょうゆ | 5,700 | 14.5 |
| 米みそ(淡色辛みそ) | 4,900 | 12.4 |
| めんつゆ(三倍濃縮) | 3,900 | 9.9 |
| トマトケチャップ | 1,200 | 3.1 |
| ロースハム | 910 | 2.3 |
| 角形食パン | 470 | 1.2 |
※ 「うすくちしょうゆ」は色が薄いだけで、塩分はこいくちしょうゆより多い点に注意。 わかめや梅干しは100gあたりの数値なので、実際の1食分(数g〜10g程度)に換算して考えましょう。
目標量は男性7.5g・女性6.5g未満——でも実際は超えがち
日本人の食事摂取基準2020年版では、成人の食塩相当量の目標量を男性 7.5g/日未満・女性 6.5g/日未満と定めています。 さらに高血圧の予防・治療の観点では 6g/日未満が推奨されることもあります。
一方で、しょうゆ・みそ・漬物・めん類を日常的に使う日本の食生活では、 平均的な摂取量が目標量を上回りやすいことが繰り返し指摘されています。 「Na 400mg ≒ 食塩1g」の換算を身につけて栄養成分表示をチェックする習慣は、 この乖離を埋める第一歩になります。
実践のコツ:1食あたり2〜2.5gを目安に
1日6.5〜7.5g未満を3食で割ると、1食あたり約2〜2.5g。カップめん1食(食塩5g超のものも)や みそ汁+漬物+しょうゆの和定食は、この目安を簡単に超えます。ナトリウム表記の食品を見たら 「×2.54÷1000」で食塩相当量に直してから判断しましょう。
具体的な減塩テクニック(だし・酸味の活用、カリウムとの食べ合わせなど)は、塩分を減らす食品選びと調理のコツで詳しく解説しています。
🧂 全食品のナトリウムランキングを見る →まとめ:換算のポイント
- ✓食塩相当量(g)= ナトリウム(mg)× 2.54 ÷ 1000
- ✓暗算なら「ナトリウム400mg ≒ 食塩1g」で見積もる
- ✓ナトリウム表記をそのまま「塩分」と読むと約2.5分の1に過小評価してしまう
- ✓成人の目標量は男性7.5g・女性6.5g未満(食事摂取基準2020年版)
- ✓うすくちしょうゆ・めんつゆ・加工肉など「塩辛く感じにくい高塩分食品」に注意
参考資料
・文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
・厚生労働省「日本人の食事摂取基準2020年版」